シュレディンガーのななふく

重ね合わせの中で生きる人のちょっと長い話

33|3択目への配慮

お久しぶりです。ななふくです。

部活関係や同時多発的に出されたレポートで本当に忙しく、バタバタしてまともに眠れぬ期間も終わり、少し落ち着いた気持ちでこの文章を書いています。

今回もまた「この手の話題」です。もう飽きたわ!と思った方、申し訳ありませんが本来こういうブログでもあるので今回もしばし付き合って下されば幸いです。

 

というわけで近況報告から。

昨年末より自らのジェンダーについて向き合うことになったのを機に、3回生でありながら基幹(だいたい1回生向け)のジェンダー論の授業を大まじめに受けることにしました。毎回出席のミニットペーパーにこのように感想文として思ったままのことを書き連ねて提出するという害悪じみた行動をしています。

 

 

さて、ここで本題に入りますが、先日書いた「おっぺしゃん」の記事を思い出して下さい。

 

14.hatenablog.jp

 

これです。これと似たような状況にまたまたバッティングしました。それは高エネルギー加速器研究機構(KEK)主催の「サマーチャレンジ」なるものに応募したときの話です。実は前々から(去年の7月に行われた研究室見学のあたり)興味はあり、今年度分の募集が始まったため興味本位で応募しようとしたところ、

 

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1:応募画面

知 っ て た

 

まあそうだろうとは思いましたよ。前例があるのかないのか正直わからないのですが仕方ないとは思うんですけどね。

まさか性別が理由で落とされたりしないよね…さすがにね……まあどうせ受からないだろうけど…と思いつつとりあえず身体の性別で応募しました。

ひと月後、驚いたことに選考通過のメールが届きました……!!まさかとは思いましたよ、ええ。

 

さて、選考通過と同時に受け取った最終応募書類を提出する段階に。ここにも性別欄はあったのですが、自由記述だったため、

 

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2:最終応募書類

こう書きました。まあダメもとで出したのですが。

 

ところがこの件に関しては特に質問されることもなくあっさりと受理されました。

頭の中によぎったのは次の3つ。

  1. 運営がまともに見てないかも
  2. あるいはめんどくさいから関わらんとこって思われたかしら
  3. あ、こいつふざけてるなって思われてたらやだな

これまでも部活の合宿などで自らの性をオープンにしていなかったとき、「24時間ずっと男性を演じなければならない」という軽い違和感のようなものを感じた都合上、1.の場合だったら個人的にまずい予感もしたので、別件で届いた参加登録フォームにおいて、自己紹介に性別不定の旨を記入し、運営への質問欄に以下のような要望を入力しました。

 

参加応募時および共同利用者支援システム等、性別を男女2択で選ばざるをえないものに関しては戸籍および学籍に基づき「男性」としましたが、参加申請書にて性別「不定」として提出いたしました通り、私の性自認は不安定で、男性とも女性ともつかない状態になることがほとんどです(いわゆる「Xジェンダー」の「不定性」と呼ばれるものです)

これまで男性として扱われているのに慣れているため部屋割り等性別のかかわる事項に関して私個人としては特別な配慮は必要ありませんが、そういう人もいるという点を念頭に入れて頂ければ幸いに存じます。

よろしくお願いいたします。

 

これを書いたとき、ずっと自分はわがままを言っているのではないかとか、単純に性別不定をネタにしたいだけなんじゃないかとか思ったりはしたのですが、少なくとも始めからオープンにしておけば気が楽だという思いもあり、特別扱いしなくてもいいからわかって欲しいという意味合いで追伸的に書きました。以前にも記事で書いたように、性自認がほぼ女性になることもあります。最近は特に不安定さが顕著で、身体の性に強い違和感を覚える日がここ1週間で2回もあったため、そのような状況で生活していくのもなかなか厳しいものがあるという思いもありました。とはいえ、ここでの「配慮」は部屋トイレお風呂を独り占めといった「優遇」にもつながりかねないとも思ったので、さすがにここまでの特別な配慮は必要ないとしましたが…

 

そう思った矢先、運営から次のようなメールが届きました。

 

月夜野 華澄 様(私の仮名とします)

 

サマーチャレンジ事務局 佐藤(運営代表の方の仮名とします)と申します。

参加学生情報のご登録ありがとうございました。

 

早速ですが、お聞かせいただきたいことがあります。

性別不定とお知らせいただき、

特別な配慮は不要とのご連絡をいただきました。

 

そこで、

●共同利用宿舎はバス・トイレ無しの部屋となり、バス・トイレは共通となります。

部屋割りは、ユーザーズオフィスという宿舎担当部署の方が、行います。

もし、必要なことや不安なことがありましたら、お知らせください。

こちらから、ユーザーズオフィスに希望を伝えます。

 

●全員の自己紹介文は、顔写真と共にサマーチャレンジの共有スペースに期間中掲示します。

月夜野さんの自己紹介文面は、そのまま掲載しても問題ないでしょうか?

 

(中略)

 

月夜野さんご自身、自覚をもって学生生活を送っていらっしゃるとおみうけいたしますので、

特に心配はないと思いますが、もし不都合や必要なことがありましたら、遠慮なくご連絡ください。

  

※都合のよい時に、佐藤までお電話ください。よろしくお願いします。

 

涙が出ました。この時点でまさかここまで配慮していただけるとは思ってもいませんでした。少し前までどうせ相手にされないだろうとか思ってた自分をぶん殴ってやりたい気分です。世の中捨てたものではないですね。近日中に運営担当の佐藤様と詳細なお話をしたいと思っております。

 

おそらく大多数の人は2択の外にいる人の存在を意識しない人だと思います。応募フォームと共同利用者申請システムの性別欄が2択しか用意されていないのはそのよい例でしょう。しかし、今回要望を送ってみて2択の外にいる人に関してここまで親身にとりあってくださる方もいるのだと身をもって知ることになりました。本当に感動しているとともに、当事者やその身近な人、あるいはジェンダーについて興味のある人でない限りこのような2択の外にいる人についてなどまともに考えていないだろうというひねくれた考えがたたき直されました。

 

今回の話は以上です。なんやかんやで2時間以上考えながら書いていましたが、ツイート数にすると20ツイートをフルに使っても足りなくなるほどになってしまいました…!かなりグダグダになりましたが、ここまでおつきあい下さった皆様、ありがとうございました。

近日、この続きに関して後日譚のようなものも書くつもりではあります。そのときはよろしくお願いします。

それでは、ごきげんよう